家具の金属・樹脂・仕上げの用語
スチール
読み方:すちーる
鋼のことで、鉄を主成分とする金属材料です。オフィスでは、デスクの脚やフレーム、書庫、ロッカー、椅子の構造部材などに広く使われます。板を曲げる、管状にする、溶接してつなぐなどの加工で形をつくります。
薄い鋼板でも、端を折り曲げたり補強を加えたりすると、必要な形と強さを持たせられます。棚板、扉、机の脚では力の受け方が違うため、それぞれ異なる断面や接合方法が使われます。家具の耐荷重は、鋼という材料名だけでなく、板厚、形、支点の位置などを含む構造に関係します。
アルミニウムは鋼より密度が小さい金属ですが、完成した部品の重さや強さは、使う量と形によって変わります。鋼管を組み合わせた脚と、アルミニウム合金を型で成形した脚などは、材質だけでなく構造も異なります。
鋼製家具の表面には、塗装やめっきなどの処理を施すものが多く、粉体塗装もその一つです。表面処理は色や質感を与え、金属を保護します。一般的な鋼製の扉などは磁石が付きますが、塗膜や別の表面材の厚さも、マグネットとの接し方に関係します。
アルミニウム
読み方:あるみにうむ
比較的密度が小さく、軽い金属材料です。オフィス家具では椅子の脚、テーブルのフレーム、間仕切りの枠などに使われます。実際の部品には、他の元素を加えて強度や加工性を調整したアルミニウム合金が多く使われます。
一定の断面を持つ長い部材をつくる方法に、押し出し加工があります。金型を通して成形することで、溝や空洞を持つ枠などをつくれます。また、溶かした金属を型へ入れる鋳造は、複雑な形の脚などに用いられます。加工方法によって、つくりやすい形や部材のつなぎ方が変わります。
材料の密度は鋼より小さくても、完成品の重さは部材の体積や構造にも左右されます。同じ外観に見える家具でも、厚みや内部の補強が違えば、重さや荷重の受け方は異なります。「アルミ製」は使われる金属を示す言葉で、家具全体の軽さや強度の数値を示すものではありません。
表面には、研磨、塗装、陽極酸化処理などの仕上げが使われます。陽極酸化処理は、表面に酸化皮膜を形成する方法で、保護や意匠に利用されます。銀色の金属光沢を生かすものだけでなく、黒やその他の色で仕上げたアルミニウム部品もあります。
粉体塗装
読み方:ふんたいとそう
粉末状の塗料を部材に付着させ、加熱して塗膜をつくる塗装方法です。スチール製のデスク、書庫、ロッカー、テーブルの脚などに使われます。素材の名前ではなく、表面を保護し、色や質感を付ける仕上げの方法を表します。
代表的な方法では、静電気を使って粉末を金属表面へ付着させます。その後、加熱して粉末を溶かし、連続した膜にします。塗料の種類によっては、加熱時の反応で硬化が進みます。塗膜の光沢、平滑さ、細かな凹凸などは、塗料と形成条件によって変わります。

「焼付塗装」は、加熱によって塗膜を形成・硬化させる方法を広く表す言葉です。このため、粉体塗装と焼付塗装は、互いに反対の分類ではありません。一方、めっきは金属などの層を表面に形成する処理で、塗料を用いる仕上げとは仕組みが異なります。
粉体塗装の塗膜は、金属部材の外側を覆う層です。素材そのものの強さと、塗膜の傷付きにくさや薬品への性質は別の性能です。下地処理、塗料の種類、膜の厚さなどが、仕上がった面の耐久性に関係します。
木口
読み方:こぐち
本来は、木の繊維を横切る方向に切った断面を指す言葉です。読みは「こぐち」です。家具の仕様では、板の周囲の端部や側面を広く木口と呼ぶこともあります。

木口には、板の内部構造が現れます。合板なら薄い板を重ねた層、パーティクルボードなら木の小片を固めた断面が見えます。天板の表面に木目柄の化粧材を貼っていても、切断した内部まで同じ模様が続くわけではありません。
家具では、端部へ樹脂や木材の縁材を取り付けたり、塗装したりして仕上げます。断面を保護するとともに、色や見た目を整える役割があります。例えば「天板表面はメラミン化粧板、木口はABS樹脂」という表示は、上面の仕上げと周囲の縁材が、別の材料であることを表します。
角を丸める、前腕が触れる部分を斜めにするなど、端部の形を変える加工もあります。デスクでは腕や衣服が触れ、移動するテーブルでは手を掛ける位置にもなります。木口は板の断面を指す言葉であると同時に、家具の周囲をどのように仕上げるかを説明する際にも使われます。
ABS樹脂
読み方:えーびーえすじゅし
アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを組み合わせた合成樹脂です。ABSという名称は、三つの成分の英語名の頭文字に由来します。家具では、天板の縁材、カバー、収納の部品などに使われます。
成分の配合や製造条件によって、耐衝撃性、加工のしやすさ、表面の仕上がりなどを調整します。複雑な形を金型で成形する部品にも用いられ、部材に求められる性質に合わせた種類があります。ABSは一つの製品仕様ではなく、共通する成分を持つ樹脂の分類です。
家具の表示で「木口:ABS樹脂」とある場合は、板の周囲を仕上げる縁材に使われていることを示します。天板の表面や内部まで、すべてABS樹脂でできているという意味ではありません。カバーなどの外装部品にも、内部の金属部材と組み合わせて使われます。
耐熱性や難燃性などを調整した種類もあり、同じABS樹脂でも、熱や薬品に対する性質は異なります。樹脂の種類は部品の材料を、塗装や表面加工はその外側の仕上げを表し、両者が組み合わさって完成品の表面を構成します。