家具の寸法表記の用語
モジュール
読み方:もじゅーる
家具の組み合わせや空間の構成で、基準にする寸法や単位です。一定の幅を基準に書庫を並べる、共通の長さごとにデスクを増設するといった場面で使われます。
例えば、同じ幅の収納を繰り返し並べる場合、その幅が構成の基準になります。天板、脚、パネルを一定の単位で組み合わせるデスクでは、単位を追加することで全体の長さや人数を変えられます。個々の家具を別々に扱うだけでなく、全体を共通の単位で組み立てるための考え方です。

モジュール寸法と、完成した製品の外寸は必ずしも一致しません。端部の部材、連結部分の重なり、壁際の調整分などが加わる構成もあります。また、同じ幅を基準にしている製品でも、連結金具や脚の構造が異なる場合があり、寸法の一致が部品の互換性まで表すわけではありません。
ピッチは、穴や部品が繰り返し並ぶ間隔を指します。棚板の高さを変える穴の間隔はピッチ、書庫を横に組み合わせる基準幅はモジュールというように、同じ寸法の話でも対象が異なります。
外寸
読み方:がいすん
家具の外側で測る寸法です。幅、奥行き、高さなどで表され、設置場所の中で家具が占める大きさを示します。収納内部の広さや、座ったときの身体の位置とは異なる寸法です。

収納では、側板、背板、扉などを含めた外側の大きさが外寸になります。同じ外寸でも、板の厚さや金具の配置が違えば、内部に入れられる物の大きさは変わります。外寸が設置する場所との関係を表すのに対し、内寸は収納物との関係を表します。
椅子では、幅の表示が座面の幅ではなく、肘掛けや脚を含む最大幅を示す場合があります。机でも、天板と脚が同じ位置まで張り出しているとは限りません。「外側のどの部分からどの部分までか」は、寸法図の線で示されます。
外寸は、通常、扉を開く範囲や椅子を引く範囲まで含めた値ではありません。閉じた書庫が壁際に収まっても、その前には開閉や出し入れの空間が必要です。家具そのものの外形と、使うために周囲へ必要となるクリアランスは、別の寸法として扱われます。
内寸
読み方:ないすん
収納や引き出しなどの内側で測る寸法です。内部の幅、奥行き、高さを示し、収納する物の大きさと比較する際に使われます。
家具には側板や背板、棚板の厚みがあるため、外側の大きさと内部の大きさは異なります。引き出しのレールや施錠部品が内側へ張り出す構造もあります。同じ外寸の収納でも、部材の厚さや配置によって内寸は変わります。

ファイルを立てる場合には内部の高さ、箱を横に並べる場合には幅と奥行きが関係します。可動棚を備えた収納では、棚板の位置を変えることで上下の内寸も変わります。ただし、棚板を支える穴が一定間隔に並ぶ構造では、その間隔に応じて設定できる高さが決まります。
内寸と有効寸法は、同じ値として示される場合もありますが、常に同じ意味ではありません。内部が広くても、開いた扉や蝶番が入口へ張り出していれば、大きな物をまっすぐ出し入れできない場合があります。内寸は内側で測った寸法、有効寸法は実際の利用に使える範囲の寸法で、入口の広さを示す開口寸法とも区別されます。
有効寸法
読み方:ゆうこうすんぽう
物を置く、収納する、人が通るなど、実際の利用に使える範囲の寸法です。家具全体の大きさではなく、部材や障害物を除いた部分を示します。
書庫では金具などを除いた収納範囲、扉では開いたときに物や人が通れる範囲、机では脚や引き出しを除いた足元の範囲などが対象になります。「有効幅」「有効高さ」という表示は、何に使える幅や高さなのかと結び付いています。
例えば、棚の内部に箱が収まる広さがあっても、扉や蝶番が入口へ張り出していれば、出し入れの際に通れる幅は小さくなります。机下でも、天板の下面より低い位置に引き出しがあれば、太ももを入れられる高さはその分小さくなります。どの位置を測った寸法かによって、表している範囲は変わります。

内寸は内部で測る寸法で、有効寸法と重なる場合もあります。ただし、内寸から一定の数字を引けば有効寸法になるという関係ではありません。制約となる金具や部材の位置は製品によって違うため、有効寸法は、その製品のどの範囲を使えるかを示す表示です。
W・D・H
読み方:だぶりゅーでぃーえいち
家具の寸法を表す略号です。WはWidthで幅、DはDepthで奥行き、HはHeightで高さを示します。幅は正面から見た左右の長さ、奥行きは手前から奥への長さ、高さは床などの基準位置から上への長さです。

「W1200×D600×H720mm」とあれば、幅1200mm、奥行き600mm、高さ720mmを表します(例)。センチメートルでは、それぞれ120cm、60cm、72cmです。これらは表示の読み方を示す例で、推奨する家具寸法ではありません。
椅子では、全体の高さHと、座面高を表すSHが別に表示されます。SHはSeat Heightの略です。背もたれやヘッドレストが高くても、座面の位置まで高いとは限りません。また、肘掛けの上端までの高さや、座面だけの幅などが、別の寸法として示される場合もあります。
略号は寸法の方向を示しますが、具体的な測定箇所は寸法図によって決まります。椅子のWが肘や脚を含む最大幅なのか、座面の幅なのかでは意味が異なります。「H720〜1200mm」のような範囲表示は、昇降などによって高さが変わることを示します(例)。
ピッチ
読み方:ぴっち
同じ構造が繰り返されるときの間隔です。家具では、棚板を取り付ける穴の間隔や、収納する家具を追加するごとに増える間隔などに使われます。
棚穴のピッチは、通常、隣り合う穴の中心同士など、同じ位置から同じ位置までの距離を表します。穴の縁と縁のすき間ではありません。中心間隔が25mm、穴の直径が5mmなら、穴同士の最短のすき間は20mmです(例)。同じ二つの穴でも、測る位置によって長さの意味が変わります。

棚穴が25mmピッチの構造では、支持金具を隣の穴へ移すと、取り付け位置が25mm変わります(例)。ただし、棚板間の有効な高さには棚板の厚さや金具も関係するため、穴のピッチがそのまま収納区画の高さになるわけではありません。
ネスティング家具では、追加一台ごとに増える収納奥行きをネスティングピッチと呼びます。モジュールが家具や空間を構成する基準単位を表すのに対し、ピッチは繰り返される要素の間隔に着目した寸法用語です。