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混雑・人の流れの分析と業務改善

「レジが混雑する時間帯を知りたい」「受付に行列ができる原因を調べたい」と思ったことはありませんか?防犯カメラの映像は、事故やトラブルの確認だけでなく、来訪者の人数や人の動きを調べ、業務を改善するためにも活用できます。例えば、受付前の映像を確認すると、来訪者が集中する時間帯だけでなく、案内表示が分からず立ち止まっている場所なども見えてきます。

また、AIによる人数カウント機能を利用すれば、時間帯や曜日ごとの来訪者数を継続して集計することもできます。

この記事では、防犯カメラを使った混雑・動線分析の方法や、人数カウントの仕組み、受付・レジなどの業務改善への活用方法を紹介します。

混雑・動線分析の活用場面

防犯カメラの映像からは、人が集まる場所や時間帯、施設内を移動する経路などを調べることができます。こうした情報は、受付やレジの人員配置、案内表示の見直し、通路や家具の配置変更などに役立ちます。

場所分析する内容改善につなげる例
店舗のレジ時間帯別の混雑、待っている人数混雑する時間にレジ担当者を増やす
施設の受付来訪者の動き、待つ位置や時間受付位置や案内表示を変更する
店舗の出入口入店・退店する人数混雑する曜日や時間帯を把握する
オフィスの通路人が集中する場所や移動経路家具や通路の配置を変更する
荷物の受け渡し場所荷物や担当者の動き、待ち時間作業台の配置や作業分担を見直す

例えば、施設の受付で来訪者が長時間待っている場合、受付担当者が足りないことが原因とは限りません。来訪者が受付の場所を探していたり、どこに並べばよいか分からず立ち止まっていたりすることもあります。このような場合、待っている人数を数えるだけでなく、入口から受付までの人の動きを確認すると、改善の手掛かりになります。

受付での待ち人数と来訪者の動き

受付で対応中の来訪者の後ろに二人が待ち、入口から別の来訪者が歩いてくる共用ロビー
  1. 待つ位置
  2. 入口からの動き

例えば、入口から入った人が受付を見つけられずに立ち止まることが多ければ、案内表示を追加する方法があります。一方、迷わず受付へ来ているのに行列が長くなる場合は、受付にかかる時間や担当者の配置を見直す必要があります。

録画映像の確認とAI自動集計の使い分け

防犯カメラを業務改善に利用する方法には、録画映像を人が見て確認する方法と、AIなどを使って人数や人の動きを自動集計する方法があります。

録画映像の確認は、特定の場所で何が起きているのかを詳しく調べる用途に向いています。例えば、受付の配置を変更するために、混雑していた日の映像を振り返り、来訪者がどこで待っているのかを調べる方法です。

一方、AIによる自動集計は、混雑する曜日や時間帯を継続して比較したい場合に役立ちます。

方法主な使い方
録画映像を人が確認特定の日の混雑原因や、受付周辺で起きた出来事を詳しく調べる
AIによる人数カウント時間帯・曜日ごとの来訪者数を継続して記録する
混雑・滞留の分析特定の場所に人が集まる傾向を把握する
動線の分析人が多く通る場所や移動する方向を調べる

例えば、受付の位置を一度見直したいだけなら、録画映像の確認で十分な場合があります。一方、毎週の来客数に合わせてレジの人員配置を調整したい場合は、人数を自動集計できる機能が便利です。

AIによる映像分析機能を備えたカメラには、人が指定した線を通過した回数を数える機能や、特定の区域に人が集まっている状況を分析する機能などがあります。

ただし、すべての防犯カメラで人数を自動集計できるわけではありません。利用したい分析内容に対応したカメラやシステムが必要です。

通過数・来訪者数・在場人数の違い

防犯カメラを使った人数分析では、「通過数」「来訪者数」「在場人数」「滞在時間」などの情報を利用します。名前は似ていますが、それぞれ意味が異なります。

指標意味利用する場面
通過数指定した場所を人が通過した回数通路や出入口の利用状況
来訪者数設定した計測方法による来訪者の人数来客傾向の把握
在場人数ある時点で施設や区域内にいる人数現在の混雑状況
滞在時間施設や特定区域にいる時間施設の利用傾向の分析

通過数と来訪者数の違い

例えば、店舗の入口で100回の通過が記録されていたとしても、100人のお客様が来店したとは限りません。同じ人が何度も出入りした場合、そのたびに通過として数えられることがあるためです。また、従業員が入口を通る場合には、その人数も集計に含まれることがあります。

入口を通過した回数を数える方法と、異なる来訪者を区別して人数を推定する方法では、計測する情報が異なります。来訪者数として表示される数値についても、入場方向の通過人数を表しているのか、重複を除いた人数を表しているのかを確かめることが重要です。

入退場数による在場人数の計算

「在場人数」とは、ある時点で施設や区域内にいる人数のことです。例えば、店舗の開店時に店内が無人であれば、その後に入店した人数から退店した人数を引くことで、店内にいる人数を推定できます。

在場人数の計算例

項目人数
開店後の入店人数100人
開店後の退店人数85人
現在の在場人数15人

100人 − 85人 = 15人

これは、開店時に店内が0人で、すべての出入口からの入退場を正しく計測できている場合の例です。

実際には、複数の出入口があったり、従業員が別の入口を利用したりすることがあります。また、人が重なって通過したことで数え漏れが起きると、推定人数と実際の人数に差が出ます。在場人数を利用する場合は、すべての入退場を計測できるか、集計開始時に何人いたかが重要です。

滞在時間と満足度の関係

滞在時間は、利用者が施設や特定の区域にいた時間を表します。例えば、商品売り場に長く滞在している人が多い場合、商品をじっくり比較している可能性があります。一方、受付での滞在時間が長い場合は、順番待ちや手続きに時間がかかっている可能性もあります。

滞在時間が長いという数値だけで、利用者の満足度を判断することはできません。

また、特定の区域に人が滞在していた状況を分析する機能と、一人ひとりの入店から退店までの時間を計測する機能も異なります。何を計測した時間なのかを理解したうえで、必要に応じて録画映像や現場の状況と照らし合わせることが大切です。

受付・レジの混雑と待ち時間の改善

受付やレジの混雑を改善したい場合は、来訪者が多い時間帯だけでなく、どの作業や場所で待ち時間が発生しているのかを調べると役立ちます。

例えば、施設の受付で行列ができる原因には、次のようなものがあります。

  • 特定の時間帯に来訪者が集中している
  • 受付担当者が別の作業も兼任している
  • 受付や並ぶ場所が分かりにくい
  • 書類の記入や確認に時間がかかっている

人数カウントでは混雑する時間帯を把握できますが、待ち時間が発生する理由までは分からないことがあります。そこで、録画映像を確認し、来訪者がどこで立ち止まり、何を待っているのかを調べる方法が役立ちます。

混雑する時間帯の把握

例えば、午前10時から11時に来訪者が集中する施設では、その時間帯に受付担当者を増やす方法があります。同じように、店舗のレジでは、時間帯別の来客数や待ち人数を参考にして、混雑しやすい時間にレジを増やす方法が考えられます。

ただし、来訪者数と待ち人数は同じではありません。例えば、1時間に100人が来訪しても、受付の対応が短時間で終われば、大きな行列ができない場合があります。一方、来訪者が少なくても、一人あたりの対応に時間がかかれば行列ができることがあります。そのため、混雑を改善する場合は、来訪者数だけでなく、実際に待っている人数や待ち時間も合わせて調べるとよいでしょう。

受付の配置と案内表示の改善

受付付近の録画映像を確認すると、来訪者がどこで立ち止まり、どの方向へ移動しているのかが分かります。例えば、入口から入ってきた人が受付の場所を探して立ち止まることが多ければ、案内表示が分かりにくい可能性があります。この場合は、入口から見える位置に案内を追加したり、並ぶ場所を分かりやすく表示したりする方法が考えられます。

また、受付の手続きが終わった人と、これから受付へ向かう人の動線が交差している場合は、待機場所や案内経路を変更することで、人の流れを改善できる場合があります。

荷物の受け渡し場所でも同様です。担当者が荷物を取りに戻る動きや、受け渡しの順番待ちを映像で確認すると、作業台の配置や担当者の分担を見直す材料になります。

動線分析で分かる人の流れ

「動線」とは、人が施設内を移動するときに通る経路のことです。例えば、店舗では入口から売り場、レジへ向かう動線があり、オフィスでは出入口から執務スペースや会議室へ向かう動線があります。

動線を分析すると、人が多く通る場所や、途中で立ち止まりやすい場所などを把握できます。例えば、オフィスの通路に置いた家具の周辺で人の流れが滞っている場合、家具の位置を変更することで通行しやすくなる可能性があります。

また、店舗では、入口からレジへ向かう人と、レジから出口へ向かう人の動きが重なる場所を調べることができます。こうした分析では、人が通った回数だけでなく、移動する方向や、立ち止まる場所も参考になります。

ヒートマップの見方

防犯カメラの分析機能には、「ヒートマップ」と呼ばれる表示方法があります。ヒートマップとは、人の通行や滞留などの分布を、色の濃淡などで分かりやすく表示するものです。例えば、店舗のどの場所を人が多く通っているのか、受付付近のどこに人が集まりやすいのかを確認するために使います。

人の通行が多い場所を色で示すタイプであれば、普段から利用者が集中する通路を把握しやすくなります。また、人がとどまっている状況を表すタイプでは、受付前や待合スペースなど、滞留しやすい場所を調べることができます。

ただし、ヒートマップが表示する内容は分析機能によって異なります。人の通過頻度を表しているのか、滞在・滞留の状況を表しているのかを確認して利用しましょう。

AI人数カウントの精度

AIによる人数カウントは、カメラの設置位置や人の通り方、周囲の明るさなどによって結果が変わることがあります。例えば、2人が横に並んで通過した場合や、人が重なって通った場合に、正しい人数を計測できないことがあります。また、カメラの近くに扉があったり、強い日差しや影が映り込んだりすることで、計測に影響する場合もあります。

そのため、人数カウントを導入するときは、実際に人が通る場面で集計結果を確認することが重要です。

人による計測とAI集計の比較

人数計測の結果を確かめる方法として、同じ時間帯の映像を人が確認し、AIの集計結果と比較する方法があります。例えば、入口を通過した人を手動で数え、AIの人数カウントと結果を照合します。

人数カウントの手動確認例

二人の担当者が入口を同時に通る人の映像を確認し、一人が手動カウンターを使って数えている
  1. 同じ時間帯の映像
  2. 人が数える

例えば、人が20人通過したと確認できた時間帯に、AIの集計結果が18人だったとします。この場合、2人が同時に通った場面や、通路の端を通った場面などを映像で確認すると、数え漏れが発生した条件を調べやすくなります。

特に、混雑する時間帯は複数人が重なって通ることが多いため、実際の利用状況に近い条件で試すことが重要です。

集計設定の変更時の確認点

人数カウントでは、検知する範囲や通過を数える位置などを設定することがあります。例えば、これまで通路の中央だけを計測していたカメラで、通路の端まで集計範囲を広げると、通過数が増える場合があります。

このとき、集計結果が増えたとしても、実際の来訪者が増えたとは限りません。そのため、集計範囲やカメラの設定を変更した場合は、変更日と内容を記録しておくことが大切です。

また、通信障害などによって集計できなかった時間帯は、「利用者が0人だった時間」と区別する必要があります。計測できなかった時間を0人として集計すると、実際より来訪者が少ないように見えてしまいます。継続して数値を比較する場合は、集計条件と、データが取得できなかった時間帯も一緒に管理しておきましょう。

混雑分析での個人情報の取り扱い

防犯カメラで撮影した映像のうち、顔などから個人を識別できるものは、個人情報に該当します。

そのため、防犯目的で取得した映像を、別の目的で利用する場合には注意が必要です。例えば、店舗の防犯のために保存していたカメラ映像を、新たに来店客の行動分析やマーケティングに利用する場合です。

個人情報保護委員会は、防犯目的で取得したカメラ画像や顔特徴データを、マーケティングなどの商業目的へ利用する場合には、あらかじめ本人の同意が必要と説明しています。

一方、最初から混雑分析や来客傾向の把握を目的としてカメラを導入する場合は、その利用目的を特定し、本人への通知・公表など、必要な対応を行うことが重要です。

また、集計した結果が「本日の来客数100人」のような数値だけであっても、その集計に使った元の映像には個人情報が含まれている場合があります。そのため、集計結果だけでなく、元の映像や解析に利用するデータをどのように保存・管理するかも考える必要があります。

例えば、人数データだけを継続して利用したい場合は、元の映像まで長期間保存する必要があるかを整理するとよいでしょう。

クラウドなどの外部サービスで映像や分析データを処理する場合は、送信する情報や委託先での取り扱いについても確認が必要です。

従業員の動線分析への活用

防犯カメラの映像は、従業員の作業動線を見直すためにも活用できます。例えば、倉庫で荷物を運ぶ担当者が何度も同じ場所を往復している場合、作業台や保管場所の配置を見直す手掛かりになります。

また、受付担当者が来訪者への対応と書類の受け取りを繰り返している場合、業務の分担や書類の置き場所を変更する方法も考えられます。

このような分析では、個人の動きを一方的に評価するのではなく、作業の手順や設備の配置など、業務の条件を改善することを中心に考えるとよいでしょう。

従業員の映像を分析する場合も、利用目的や閲覧する担当者、録画の取り扱いなどを事前に説明し、必要な範囲で使用することが重要です。

混雑・動線分析の効果の確認

防犯カメラを使って混雑や人の流れを分析したら、実際に改善した後の状態も確認してみましょう。例えば、施設の受付前に行列ができていたため、案内表示と待機場所を変更したとします。この場合、変更前と変更後の待ち人数や待ち時間などを比較することで、改善の効果を調べることができます。

改善前後の比較項目

例えば、受付の案内表示を変更する場合は、来訪者が入口で立ち止まる回数や、受付まで進む時間などが参考になります。また、レジの担当者を増やした場合は、待ち人数や待ち時間の変化を調べる方法があります。

比較する内容記録する項目の例
混雑状況待ち人数、待ち時間、来訪者数
比較する時期曜日、時間帯、催事の有無
対応体制受付・レジの担当者数
変更した内容案内表示、家具配置、作業手順
運用負担映像の確認時間、集計作業、利用料

例えば、改善前は来訪者が多い月曜日に計測し、改善後は来訪者が少ない金曜日に計測した場合、待ち時間が短くなっていても、案内表示の変更だけが理由とは判断できません。

そのため、曜日や時間帯、担当者数など、できるだけ近い条件で比較することをおすすめします。また、天候や催事の有無など、来訪者数に影響する条件も記録しておくと、結果を振り返りやすくなります。

場所・課題を絞った分析

混雑・動線分析を始める際は、最初から施設全体を分析する必要はありません。例えば、「受付前の待ち時間を減らしたい」という課題であれば、受付周辺の映像と待ち人数の計測から始める方法があります。

改善したい内容を決めたうえで、録画映像を確認するだけで十分なのか、人数を継続して集計する必要があるのかを考えるとよいでしょう。

また、分析機能を導入した場合は、データの確認や集計の修正にかかる時間、システムの利用料なども継続利用を判断する材料になります。

継続して必要な人数データと、必要なときだけ確認する録画映像を分け、それぞれの利用目的に合った保存期間と管理方法を設定しましょう。

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