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プライバシーに配慮した撮影と運用

会社や店舗に防犯カメラを設置するとき、「どこまで撮影してよいのか」「防犯カメラ作動中の掲示は必要なのか」と迷うことはありませんか?防犯カメラは、防犯や事故の確認に役立つ一方、来店者や従業員などの姿を記録するため、プライバシーへの配慮が必要です。

この記事では、防犯カメラの撮影範囲の決め方、設置時の掲示、録画映像の利用目的、顔識別機能を使う場合の注意点について紹介します。

カメラ映像と個人情報

防犯カメラで撮影した映像は、顔や姿などから特定の人物を識別できる場合、個人情報に該当します。例えば、店舗の出入口で撮影した来店者の顔が分かる映像や、従業員を識別できる映像などです。

個人情報保護法では、事業者が個人情報を取り扱う場合、利用目的をできる限り具体的に定め、その目的の範囲内で利用することが求められます。防犯カメラの場合は、「不審者の侵入を確認する」「盗難や事故の発生状況を調べる」など、何のために映像を使用するのかを決めておくことが基本です。

ただし、防犯カメラを設置する際に、撮影される人全員から個別に同意を得る必要があるわけではありません。通常の防犯目的で撮影する場合と、顔識別機能を使って特定の人物を照合する場合などでは、必要な対応が異なります。

撮影範囲とプライバシーへの配慮

防犯カメラは、設置する目的に合わせて撮影範囲を決めることが大切です。例えば、店舗の出入口で人物の出入りを記録したい場合は、入口とその周辺を撮影できる配置が適しています。

一方、カメラの向きによっては、隣接する住宅の窓や従業員の休憩場所など、本来撮影する必要のない場所まで映り込むことがあります。

主な設置場所と、撮影時に配慮したい内容は次のとおりです。

撮影場所配慮したいこと
店舗の出入口出入りする人物や入口周辺を中心に撮影する
駐車場必要以上に近隣住宅や隣接する敷地を撮影しない
オフィスの入口業務用パソコンの画面や机上の機密情報が映り込まないようにする
従業員の休憩場所撮影の必要性を考え、私的な時間への配慮を行う
トイレ・更衣室室内の撮影を避け、必要なら入口周辺の防犯対策を検討する

例えば、事務所の入口にカメラを設置する場合、入口を通る人物は撮影できても、室内のパソコン画面は映らない位置に取り付ける方法があります。

プライバシーに配慮したカメラの配置例

入口を向くカメラと、間仕切りの奥に置いた業務用PC。入口を見る位置から業務画面が見えない配置
  1. 入口側のカメラ
  2. 奥の業務用PC
  3. 間仕切り

このように、カメラの取付位置や向きを工夫することで、防犯に必要な映像を残しながら、不要な場所の撮影を減らすことができます。

プライバシーマスクの機能

プライバシーマスクとは、防犯カメラの映像の一部を隠す機能です。例えば、駐車場を撮影したときに隣接する住宅の窓が映り込む場合、その部分を黒く塗りつぶすように隠せる機種があります。プライバシーマスクは、カメラの位置を変えられない場合や、撮影範囲の一部だけを隠したい場合に役立ちます。

ただし、機種や設定によって、隠した部分が録画映像や書き出した映像にも反映されるかが異なります。また、カメラの向きやズームを変更した際に、隠したい範囲がずれないかも重要です。プライバシーマスクを使用する際は、ライブ映像だけでなく、録画した映像でも必要な部分が隠れているかを確認してください。

カメラの設置を知らせる掲示

店舗や事業所に防犯カメラを設置する際は、「防犯カメラ作動中」などの掲示を設ける方法があります。

個人情報保護法では、個人情報を取得する場合、原則として利用目的を本人へ通知するか、公表する必要があります。ただし、顔特徴データを抽出しない従来型の防犯カメラで、設置状況などから防犯目的であることが明らかな場合には、利用目的の通知・公表が不要と考えられています。

一方、撮影されていることを本人が容易に認識できない場合には、撮影を認識できるようにする措置が必要です。例えば、カメラが目立たない場所に設置され、来店者が撮影されていることに気づきにくい場合は、入口などに掲示を設ける方法があります。

また、カメラが見える場所に設置されている場合でも、掲示があれば撮影中であることをより分かりやすく伝えることができます。

掲示の記載内容

通常の防犯カメラであれば、「防犯カメラ作動中」といった表示が基本となります。さらに、利用目的や管理者、問い合わせ先などを記載すると、撮影される人にも映像の取り扱いを伝えやすくなります。

掲示内容の例

防犯カメラ作動中 当施設では、防犯および施設内の安全確保のため、防犯カメラを設置しています。 管理者:〇〇株式会社 お問い合わせ:〇〇〇〇

※これは掲示内容の一例です。すべての施設に同じ文面が法律で義務付けられているわけではありません。

掲示は、店舗や施設の入口など、撮影される人が気づきやすい場所に設置するのがおすすめです。

入口に設置した防犯カメラの掲示例

来訪者が入口横の掲示板を見ている。通る位置から掲示の場所を認識できる
  1. 入口の掲示(例:防犯カメラ作動中)

なお、顔識別機能を使用する場合などは、通常の防犯カメラより詳しい利用目的の通知・公表が必要になります。

録画映像の利用目的

防犯カメラで撮影した映像は、あらかじめ特定した利用目的の範囲内で使用することが基本です。例えば、盗難防止を目的として設置したカメラであれば、不審者の侵入や盗難が発生した際に、録画映像を確認することが考えられます。

一方、防犯目的で取得した映像を、従業員の勤務評価や来店者の行動分析などへ利用する場合には、当初の利用目的との関係を考える必要があります。

映像の使い道考え方
不審者の侵入を調べる防犯目的での利用
盗難や事故の状況を確認する防犯・安全確保などの利用目的に沿った使用
荷物の紛失や受け渡しを調べる定めている利用目的の範囲内か確認する
従業員の勤務態度を評価する防犯とは異なる利用目的になる可能性がある
来店者の行動を分析して販促に使う商業目的への利用について適切な対応が必要

例えば、防犯目的で設置したカメラの映像を使い、従業員が何分間休憩していたかを継続的に確認するような運用は、当初の防犯目的から外れる可能性があります。このような利用を考える場合は、目的の変更や追加、従業員への説明などについて、改めて検討する必要があります。

特に、個人情報保護委員会は、防犯目的で取得した個人を識別できるカメラ画像や顔特徴データを、マーケティングなどの商業目的に利用する場合には、あらかじめ本人の同意が必要だと示しています。

撮影した映像を別の用途にも使用したい場合は、取得時の利用目的と照らし合わせ、適切な手続きを確認することが大切です。

顔識別機能・AIカメラの注意点

防犯カメラには、人を検知する機能や人数を数える機能、特定の人物を識別する機能などがあります。これらは似ているように見えますが、扱う情報が異なります。

機能主な内容
人物検知映像の中に人がいることを検知する
人数カウント出入口を通過した人数などを集計する
顔識別顔の特徴をデータ化し、登録された情報などと照合する

例えば、人物検知は「映像の中に人がいるか」を調べる機能です。一方、顔識別は、顔の特徴を利用して「登録された人物に該当するか」を照合する機能です。

顔識別では、顔特徴データなどの個人情報を取り扱うため、通常の防犯カメラより慎重な管理が求められます。

顔識別機能を使う場合の掲示と利用目的

防犯目的で顔識別機能付きカメラシステムを使用する場合は、防犯目的であることに加えて、顔識別機能を使用していることも分かるように利用目的を特定する必要があります。また、その利用目的を本人へ通知するか、公表しなければなりません。顔識別機能はカメラの外観だけでは分からないため、通常の防犯カメラで認められる利用目的の通知・公表の例外は当てはまりません。

個人情報保護委員会は、顔識別機能付きカメラシステムについて、運用する事業者、利用目的、問い合わせ先、詳しい情報を掲載したWebサイトなどを、入口や設置場所で案内することが望ましいとしています。

さらに、照合のために人物の顔特徴データを登録する場合には、登録対象となる条件や、情報を管理する方法も定める必要があります。

なお、人数を集計する機能でも、集計の過程で個人を識別できる画像などを扱う場合があります。集計した人数だけを保存する仕組みなのか、元の画像や個人に結び付く情報も保存する仕組みなのかを把握したうえで、利用目的や管理方法を考えることが重要です。

従業員への説明と映像の管理ルール

職場へ防犯カメラを設置する場合は、従業員にも撮影目的や範囲、映像の管理方法を説明しておくことをおすすめします。例えば、店舗の出入口やレジ周辺にカメラを設置する場合、防犯やトラブル発生時の確認が目的であることを伝えると、従業員も撮影の目的を理解しやすくなります。

また、録画映像は誰でも自由に閲覧できる状態にせず、業務上必要な担当者だけがアクセスできるようにすることが大切です。

主な管理項目は次のとおりです。

管理項目主な内容
撮影範囲カメラを設置する場所と、撮影する範囲
利用目的防犯、事故確認など、映像を使用する目的
閲覧権限録画映像を確認できる担当者
保存期間映像を保存する日数と削除方法
映像の書き出し書き出しを行う担当者と承認方法
問い合わせ先映像の取り扱いについて相談する窓口

例えば、複数の店舗に防犯カメラを設置している場合、各店舗の責任者は自店舗の映像のみを閲覧でき、本部の管理者は複数店舗の映像を確認できるといった権限設定が考えられます。

また、映像を外部へ持ち出す場合には、誰の承認が必要なのかを決めておくことで、目的外の利用や無断での持ち出しを防ぎやすくなります。

録画映像の保存期間

防犯カメラの録画映像について、すべての事業所に共通する保存日数が個人情報保護法で一律に定められているわけではありません。例えば、盗難や事故が発生した際に過去の映像を確認する目的であれば、問題が発覚するまでの時間や、過去に確認が必要になった事例などを参考に保存期間を考える方法があります。

また、保存する必要がなくなった個人データは、遅滞なく消去するよう努めることが求められます。例えば、通常の録画映像は設定した期間が経過すると自動的に上書きされるようにし、事故やトラブルが発生した場合に必要な部分だけを別途保管する運用があります。

特定の映像を通常より長く保存する場合は、その理由や管理する担当者、保管を終了する条件などを明確にしておくとよいでしょう。

防犯カメラを新たに設置するときだけでなく、撮影範囲を変更したり、顔識別などの機能を追加したりする際にも、利用目的や掲示、従業員への説明を見直すことが大切です。

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