カメラの種類と使い分け
防犯カメラには「ドーム型」「バレット型」「全方位」「PTZ」など、さまざまな種類があります。これらは、カメラ本体の形状を表すものと、映像の撮影方法や機能を表すものに分けられます。
この記事では、それぞれの種類の特徴と、どのような場所や用途に向いているのかを紹介します。
形状と撮影方法による分類
防犯カメラの種類は、主に次の2つの観点から分類できます。
| 分類 | 主な種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 本体の形状 | ドーム型・バレット型 | カメラの外観や取り付け方による分類 |
| 撮影方法・機能 | 固定・全方位・PTZ | どの範囲を、どのように撮影するかによる分類 |
例えば、ドーム型やバレット型のカメラには、決まった方向を撮影する固定式の製品があります。また、ドーム状の筐体に収められたPTZカメラもあります。
まずは外観の違いを紹介し、その後で撮影方法による種類を見ていきましょう。
ドーム型とバレット型の違い
ドーム型
ドーム型は、レンズの周囲をドーム状のカバーで覆ったカメラです。丸みのあるコンパクトな形状が特徴で、天井や壁などに取り付けられます。カメラの向きが外から分かりにくい製品もあり、店舗の売り場やオフィスの共用部など、内装になじませたい場所に向いています。
また、カバーによってレンズ部分が保護されるため、いたずらや衝撃への対策を考えた製品もあります。
ドーム型の外観

バレット型
バレット型は、筒状の本体を取り付け金具で支える形のカメラです。ドーム型に比べてカメラの存在や撮影方向が分かりやすく、防犯カメラが設置されていることを周囲に示しやすい形状です。建物の外壁や出入口、駐車場、敷地の境界などで使用されます。離れた場所を撮影するために、望遠レンズを搭載した製品もあります。
バレット型の外観

ドーム型とバレット型は、どちらにも屋外で使用できる製品があります。屋外に設置する場合は、形状だけでなく、防水・防塵性能や使用可能な温度などを確認してください。
固定カメラの特徴
固定カメラは、あらかじめ決めた方向を撮影し続けるカメラです。ドーム型にもバレット型にも、固定式の製品があります。店舗の出入口やレジ、建物の玄関など、継続して記録したい場所が決まっている場合に向いています。例えば、店舗の出入口に固定カメラを設置すれば、扉が閉まっている状態から人が入店し、店内へ進むまでの様子を、同じ角度から記録できます。
固定カメラの撮影例
固定カメラの特徴は、撮影範囲が一定であることです。そのため、出入口を通過した人物や、レジで商品の受け渡しが行われた場面などを、後から同じ位置の映像で確認することができます。
また、固定式でもレンズの画角(映る範囲の広さ)を調整できる製品があります。設置時に手動で調整するタイプのほか、対応する機器から遠隔操作で画角を変更できるタイプもあります。
全方位・パノラマカメラの特徴
全方位・パノラマカメラは、広い範囲をまとめて撮影できるカメラです。店舗の売り場やオフィスのフロア、ホテルのロビーなど、広い空間で人の移動や周囲の状況を確認する用途に向いています。撮影方法には、主に1つの魚眼レンズを使うタイプと、複数のレンズを使うタイプがあります。
魚眼レンズを使うタイプ
魚眼レンズは、非常に広い範囲を撮影できるレンズです。例えば、天井に取り付けて真下へ向けることで、カメラの周囲360度を撮影できるタイプがあります。魚眼レンズで撮影した映像は、円形で周囲がゆがんで見えることがありますが、対応するシステムでは、その映像を補正して見やすい形に表示できます。
魚眼レンズを使ったカメラ

複数のレンズを使うタイプ
1つの本体に複数のレンズを備え、それぞれ別の方向を撮影するタイプもあります。複数の映像をつなぎ合わせて横に広いパノラマ映像として表示したり、それぞれの方向の映像を個別に表示したりできます。例えば、建物の外壁に沿って広い範囲を撮影したい場合や、複数の方向を同時に確認したい場合に向いています。
複数のレンズを使ったカメラ

撮影した映像の表示方法
全方位カメラには、撮影した映像を用途に合わせて表示する機能があります。例えば、魚眼レンズで撮影した店舗の映像を、そのまま円形で表示したり、補正して複数の画面に分けたりすることができます。
全体を見る

分割して見る

一部分を大きく見る

ただし、広い範囲を一度に撮影すると、映像の中で一人ひとりの人物や商品は小さく映ります。全方位カメラで売り場全体の人の動きを確認できても、離れた場所にあるレジで何を手渡したのかまでは判別できない場合があります。また、録画した映像の一部分を大きく表示しても、撮影時に記録されていない細部まで確認できるわけではありません。そのため、広い範囲の状況確認には全方位カメラ、人物の顔や商品の受け渡しなどを詳しく記録したい場所には固定カメラ、といった使い分けも効果的です。
PTZカメラの特徴
PTZカメラは、レンズの向きや映像の拡大率を遠隔操作で変更できるカメラです。PTZとは、パン(Pan)、チルト(Tilt)、ズーム(Zoom)の頭文字を組み合わせた名称です。
| 機能 | 動作 |
|---|---|
| パン(Pan) | カメラの向きを左右に変える |
| チルト(Tilt) | カメラの向きを上下に変える |
| ズーム(Zoom) | 撮影する対象を拡大・縮小する |
例えば、駐車場全体を確認しているときに気になる車を見つけた場合、カメラの向きを変えて、その車を大きく映すことができます。

PTZカメラには、あらかじめ登録した複数の場所へ自動的に向きを変える「プリセット巡回」や、検知した人物・車両などを自動で追いかける「自動追尾」に対応した製品もあります。広い駐車場や工場の敷地など、離れた場所からカメラを操作して状況を確認したい場合に向いています。
カメラの向きと撮影範囲の関係
一般的なPTZカメラは、レンズの向きを変えることで撮影する場所が移動します。例えば、店舗の入口を映しているカメラを駐車場の奥へ向けた場合、その間は入口が撮影範囲から外れます。
PTZ入口そのため、出入口などを常に記録したい場合は固定カメラを設置し、PTZカメラを離れた場所の確認用として組み合わせる方法があります。
光学ズームとデジタルズームの違い
防犯カメラのズーム機能には、主に「光学ズーム」と「デジタルズーム」があります。
光学ズームは、レンズの焦点距離を変えることで、撮影する対象を大きく映す方法です。例えば、離れた場所にある車へ光学ズームすると、車を大きく映して撮影できます。一方で、画面に映る周囲の範囲は狭くなります。
デジタルズームは、撮影した映像の一部分を切り出して大きく表示する方法です。例えば、録画済みの映像から気になる車両の部分を拡大して確認できます。ただし、元の映像に記録されている情報を引き伸ばして表示するため、拡大率が大きくなると画質が粗くなります。
人物の顔や車のナンバープレートなど、遠くの対象を詳しく撮影したい場合には、光学ズームに対応したカメラが向いています。
カメラの種類の組み合わせ方
ここまで、防犯カメラの形状と撮影方法による違いを紹介しました。実際の設置では、それぞれの特徴を生かして複数の種類を組み合わせる方法もあります。例えば、駐車場のある店舗では、次のような組み合わせが考えられます。
| 設置場所 | カメラの種類 | 役割 |
|---|---|---|
| ① 出入口 | 固定カメラ | 人や車の出入りを継続して記録する |
| ② 店内全体 | 全方位カメラ | 売り場全体の様子や人の移動を把握する |
| ③ 屋外 | PTZカメラ | 気になる場所へ向きを変えて詳しく確認する |
カメラの組み合わせ例
123全方位カメラで店内全体の人の動きを確認し、出入口の固定カメラで人物の出入りを詳しく記録する、といった使い方ができます。また、駐車場ではPTZカメラで離れた場所を確認しながら、固定カメラで出入口の記録を残すことができます。このように、広い範囲を撮影するカメラと、決まった場所を詳しく記録するカメラを組み合わせることで、それぞれの特徴を生かした防犯カメラシステムを構成できます。