停電・回線障害に備える方法
停電やインターネット回線の障害が発生したとき、防犯カメラの録画はどうなるのでしょうか?例えば、インターネット回線が止まっても、店舗内では録画を続けられる場合があります。一方、停電によってカメラへの電源供給が止まると、撮影そのものができなくなります。
防犯カメラの障害対策では、カメラや録画装置、通信機器のどこに影響が出るのかを知っておくことが大切です。
この記事では、停電・回線障害による影響と、UPSやバックアップを利用した対策、復旧後の確認方法を紹介します。
停電・回線障害による影響
防犯カメラのシステムは、カメラで映像を撮影し、録画装置などに保存し、パソコンやスマートフォンから閲覧する仕組みで構成されています。
例えば、外出先から映像を確認できなくなった場合でも、現地では正常に録画が続いていることがあります。反対に、録画装置が停止している場合は、ライブ映像が表示されていても、過去の映像が保存されていない可能性があります。
障害が発生した場所によって、主に次のような影響があります。
| 障害が発生した場所 | 主な影響 | 対策の例 |
|---|---|---|
| カメラへの電源供給 | 撮影や映像の送信が停止する | UPSによる電源供給 |
| カメラと録画装置の接続 | 録画装置へ映像が届かなくなる | カメラ本体への録画 |
| インターネット回線 | 遠隔閲覧やクラウドへの転送が停止する | 現地録画・一時保存 |
| 録画装置 | 録画や保存済み映像の再生に支障が出る | 別の保存先へのバックアップ |
障害への備えを考える際には、遠隔閲覧を続けたいのか、録画を途切れさせたくないのか、保存済みの映像を守りたいのかによって、必要な対策が変わります。
回線障害に備えた現地録画・一時保存
インターネット回線の障害に備える方法には、現地の録画装置へ映像を保存する方法や、カメラ本体に一時保存する方法があります。
現地レコーダーでの録画
店舗や事業所内に録画装置を設置している場合、カメラと録画装置が現地のネットワークで接続されていれば、インターネット回線が切れても録画を続けられる構成があります。
例えば、店舗のインターネット回線が停止すると、本部からの遠隔閲覧はできなくなりますが、店舗内のカメラとレコーダーが正常に動作していれば、映像はレコーダーへ保存され続けます。回線が復旧した後に、障害中の録画を確認することもできます。
ただし、現地で動作するために必要な機能や認証の条件はシステムによって異なります。導入時には、インターネット回線が切れた場合にも録画を継続できる構成か確認しておくと安心です。
カメラ本体への一時保存
クラウドや録画装置への接続が切れた場合に備えて、カメラ本体のSDカードなどへ映像を一時保存する方法もあります。例えば、クラウドへ映像を送信しているカメラでインターネット回線が停止した場合、一時的にカメラ本体へ録画を保存し、通信が復旧した後にクラウドへ転送できる製品があります。このような機能があれば、通信障害中の映像が失われるリスクを減らすことができます。
ただし、一時保存できる時間は記録媒体の容量や録画設定によって変わります。通信が復旧した後に自動で転送されるかどうかも含め、製品の機能を確認することが大切です。
UPSによる停電対策
UPS(無停電電源装置)は、停電が発生した際に、内蔵したバッテリーから一定時間電力を供給する装置です。防犯カメラのシステムにUPSを組み合わせることで、短時間の停電でも撮影や録画を続けたり、録画装置を安全に停止させたりすることができます。例えば、短い停電でも録画を途切れさせたくない店舗や、停電による突然の電源停止から録画装置を保護したい施設などで役立ちます。
UPSに接続する機器
停電中も防犯カメラの録画を続けるには、カメラだけでなく、録画に必要な機器にも電源を供給する必要があります。例えば、PoEと呼ばれる方式でカメラへ給電している場合、PoEスイッチが停止すると、そこへ接続しているカメラへの電源供給も止まります。また、カメラが動作していても、録画装置が停止していれば、その録画装置へ映像を保存することはできません。
UPSと録画機器の設置例

- 録画装置
- PoEスイッチ
- UPS
PoEを利用しているシステムでは、UPSからPoEスイッチと録画装置へ電源を供給することで、停電中もカメラの撮影と録画を継続できる構成があります。
ただし、外出先からの遠隔閲覧も続けたい場合には、ルーターなどの通信機器も動作する必要があります。また、通信会社側の設備が停電などで停止している場合は、現地のUPSだけではインターネット接続を維持できません。
UPSの給電可能時間
UPSを選ぶ際には、次の2つが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 供給できる電力 | 接続する機器を正常に動かすために必要な電力 |
| バッテリーの持続時間 | 停電中に電力を供給し続けられる時間 |
例えば、カメラと録画装置を停電中も動かし続けたい場合には、その機器一式を動作させるための電力と、録画を続けたい時間に対応するUPSが必要です。UPSは、接続する機器の消費電力が大きくなるほど、一般にバッテリーで動作できる時間が短くなります。
また、同じUPSでもバッテリーの劣化によって持続時間が短くなるため、定期的な点検や交換が必要です。
なお、停電中も録画を続ける目的と、録画装置を安全に停止させる目的では、必要な持続時間が異なります。短時間の停電に対応したいのか、一定時間録画を継続したいのかに合わせて、UPSの容量を考えることをおすすめします。
録画装置の故障に備えた映像保存
防犯カメラの録画装置には、HDD(ハードディスク)などの記録媒体が使用されています。HDDが故障すると、録画が停止したり、保存していた映像を利用できなくなったりすることがあります。こうした故障への備えには、複数のHDDを利用する方法や、別の場所へ録画映像を保存する方法があります。
RAIDによるHDD故障への備え
RAID(レイド)は、複数のHDDなどを組み合わせて利用する技術です。RAIDにはいくつかの方式があり、一部のドライブが故障してもデータを利用できる構成があります。例えば、2台のHDDへ同じデータを保存する「ミラーリング」と呼ばれる方式では、1台のHDDが故障しても、もう1台に保存されたデータを利用できます。このような構成は、HDDの故障によって録画データが失われるリスクを減らすために役立ちます。
ただし、RAIDは録画装置そのものの破損や持ち去りに備えるものではありません。装置全体が失われた場合には、複数のHDDに保存していても映像を取り出せなくなる可能性があります。
別の場所への録画映像のバックアップ
録画装置の破損や盗難に備える場合には、現地の録画装置とは別の場所にも映像を保存する方法が役立ちます。例えば、店舗内のレコーダーに録画しながら、重要な映像をクラウドにも保存する方法です。現地の録画装置が破損した場合でも、クラウドに保存済みの映像は、別の端末から確認することができます。
バックアップには、すべての映像を保存する方法と、指定した映像だけを保存する方法などがあります。事故やトラブルの映像を確実に残したい場合には、どの映像がバックアップされるのか、何日間保存されるのかを確認しておくことが大切です。
また、録画装置の設定やカメラの構成情報も別途保管しておくと、故障した機器を交換する際の復旧作業に役立ちます。
復旧後の確認ポイント
停電や通信障害が解消し、防犯カメラのライブ映像が再び表示されるようになっても、録画まで正常に再開しているとは限りません。例えば、カメラの映像は表示されていても、録画装置のHDDにエラーが発生していて、録画が停止している場合があります。そのため、障害から復旧した際には、録画映像を実際に再生して確認することをおすすめします。
復旧後の録画確認

主な確認項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 録画の再開 | 復旧後の映像が正常に保存されているか |
| 録画の欠落 | 停電や回線障害中に映像が残っていない時間帯はあるか |
| カメラの時刻 | 実際の時刻と録画映像の時刻が合っているか |
| エラーや通知 | 故障や録画停止などの警告が残っていないか |
| バックアップ | 必要な映像が別の保存先にも残っているか |
カメラ・録画装置の時刻の確認
停電などによってカメラや録画装置の時刻がずれると、複数の映像を照合する際に問題になることがあります。例えば、正面入口と倉庫入口に設置したカメラの時刻が異なっていると、同じ人物がどの順番で移動したのかを調べにくくなります。また、入退室管理システムなどの記録と映像を照合する場合にも、正しい時刻が重要です。
時刻にずれが見つかった場合には、その差と確認した日時を記録し、管理者に時刻同期の設定を確認してもらいましょう。
障害に備えた運用と復旧時の対応
防犯カメラの障害対策では、機器の故障を防ぐことだけでなく、障害が発生したときに誰が対応するのかを決めておくことも重要です。例えば、店舗のカメラが停止した場合に、店舗の責任者が本部へ連絡するのか、保守会社へ直接連絡するのかが決まっていれば、復旧作業を進めやすくなります。
また、防犯カメラが使用できない間は、必要に応じて人による巡回を増やしたり、出入口の確認方法を変更したりする対応も考えられます。
防犯カメラの定期点検では、ライブ映像の表示だけでなく、録画の再生やバックアップの状態も確認しておくと安心です。
なお、停電や通信障害を意図的に発生させる試験は、録画の停止や業務への影響を伴うため、管理者や施工会社と計画したうえで実施してください。
停電への備えにはUPS、通信障害への備えには現地録画や一時保存、録画装置の故障への備えにはバックアップなど、それぞれ役割の異なる対策があります。防犯カメラを設置する目的や、録画を停止できない場所・時間帯に合わせて、必要な対策を組み合わせることをおすすめします。