フレームレートとシャッター速度
防犯カメラの映像を確認するとき、人物の動きが飛び飛びに見えたり、再生を一時停止すると顔や手元がぶれていたりすることがあります。こうした映像の見え方に関係するのが「フレームレート」と「シャッター速度」です。
この記事では、それぞれの意味と違い、撮影する場所に合わせた設定の考え方を紹介します。
フレームレートとシャッター速度の違い
フレームレートとシャッター速度は、どちらも動いている人物や物の撮影に関係しますが、役割が異なります。
| 項目 | フレームレート | シャッター速度 |
|---|---|---|
| 意味 | 1秒間に記録する画像の枚数 | 1枚の画像を撮影するときに光を取り込む時間 |
| 単位 | fps | 秒(1/30秒、1/250秒など) |
| 主な役割 | 動きを細かい時間間隔で記録する | 動いている対象のぶれを抑える |
例えば、レジで商品を受け渡す場面を撮影する場合、商品を渡す前後の動作を詳しく記録するには、フレームレートが重要です。一方、受け渡しの瞬間を一時停止して、手元や商品の状態を詳しく確認するには、シャッター速度が関係します。
フレームレートと映像の滑らかさ
フレームレートとは、1秒間に記録する画像の枚数のことで、「fps(frames per second)」という単位で表します。防犯カメラの映像は、連続して撮影された静止画像を順番に表示することで、動画として見ることができます。例えば、15fpsなら1秒間に15枚、30fpsなら30枚の画像が記録されます。
| フレームレート | 1秒間の画像枚数 | 画像を記録する間隔 |
|---|---|---|
| 5fps | 5枚 | 約0.20秒 |
| 15fps | 15枚 | 約0.067秒 |
| 30fps | 30枚 | 約0.033秒 |
※一定の間隔で画像を記録する場合の計算です。
フレームレートが高いほど、動きを細かい時間間隔で記録でき、再生したときの動きも滑らかになります。例えば、人が入口へ近づき、扉を通過して室内へ入るまでの動作を撮影する場合を考えてみましょう。
入口へ近づく

入口を通る

室内へ入る

フレームレートが低い場合、記録される画像の間隔が広いため、人物が移動した途中の場面が抜けてしまうことがあります。一方、フレームレートを高くすると、動作の途中も細かく記録できるため、人がどのように移動したのかを確認しやすくなります。特に、商品の受け渡しや手元で行う作業など、短い時間で動作が変化する場面では、高いフレームレートが役立ちます。
シャッター速度と動体ぶれ・明るさ
シャッター速度とは、カメラが1枚の画像を撮影するために光を取り込む時間を表したものです。「1/30秒」「1/250秒」などの数値で表され、1/250秒の方が光を取り込む時間が短く、シャッター速度が速いことを意味します。
動いている人物や車を撮影する場合、シャッター速度を速くすると、動きによるぶれを抑えやすくなります。例えば、歩いている人物を撮影する場合、シャッター速度が遅いと、撮影中に人物が動くことで顔や体の輪郭が流れるように映ることがあります。一方、シャッター速度を速くすると、人物の動きを止めたような鮮明な画像を撮影しやすくなります。
※映り方の違いを示す説明用イメージです。実機による比較映像ではありません。
ただし、シャッター速度を速くすると、光を取り込む時間が短くなるため、映像が暗くなりやすくなります。特に夜間や照明が少ない場所では、シャッター速度を速くするだけでは十分な明るさを確保できず、照明を追加する必要がある場合もあります。また、映像を電気的に明るくする処理を強めると、ざらついたノイズが増えることがあります。
30fpsでも動体ぶれが起きる理由
フレームレートが高いカメラでも、シャッター速度が遅ければ、動いている人物や物がぶれることがあります。例えば、30fpsで滑らかに再生できる映像でも、1コマごとの撮影に時間がかかっていると、人物の顔がぼやけて記録される場合があります。
反対に、シャッター速度が速く、1コマが鮮明に撮影されていても、フレームレートが低いと、商品の受け渡しなどの短い動作が記録されないことがあります。
映像の状態と、それぞれの設定の関係を整理すると次のようになります。
| 映像の状態 | 関係する設定 |
|---|---|
| 人物の動きが飛び飛びに見える | フレームレート |
| 一時停止すると顔や手元がぶれている | シャッター速度 |
| 動きは鮮明だが映像が暗い | シャッター速度と照明 |
なお、フレームレートとシャッター速度は完全に独立しているわけではありません。暗い場所で露光時間を長くする設定では、カメラによってフレームレートが低下する場合もあります。
撮影場所に合った設定
出入口での人物の撮影
店舗やオフィスの出入口では、人が出入りした時間や移動方向、人数などを確認するために防犯カメラが使用されます。人の動きを詳しく記録したい場合には、フレームレートを高めに設定すると、人物が通過する様子を細かく残すことができます。
また、通過する人物の顔を確認したい場合には、再生を一時停止したときに顔の輪郭がぶれていないことも重要です。人物が通常の速さで歩く場面を撮影し、連続再生と一時停止の両方で映像を確認すると、目的に合った設定か判断しやすくなります。
レジ・荷物の受け渡しの撮影
レジでの商品の受け渡しや、搬入口での荷物の受け渡しなど、短い時間に複数の動作が行われる場所では、フレームレートの高さが役立ちます。例えば、商品を手に取る、相手へ渡す、相手が受け取るといった動作を、より細かい時間間隔で記録できます。さらに、シャッター速度を適切に設定することで、動いている手や商品のぶれを抑えやすくなります。
ただし、人物の体や荷物によって手元が隠れている場合には、フレームレートやシャッター速度を調整しても映像には残りません。手元を確認したい場所では、カメラの撮影方向も重要です。
車両の撮影
駐車場を出入りする車両など、速く動く対象を撮影する場合には、シャッター速度とフレームレートの両方が重要です。フレームレートを高くすると、車両が移動する途中の場面を細かく記録できます。また、シャッター速度を速くすることで、走行中の車体やナンバープレートの動きによるぶれを抑えやすくなります。
ただし、ナンバープレートの文字を鮮明に撮影するためには、車の速度だけでなく、撮影距離や角度、画面内での文字の大きさ、夜間の照明なども関係します。ナンバープレートを詳しく記録したい場合には、駐車場全体を撮影するカメラとは別に、車両が通過する場所へ撮影範囲を絞ったカメラを設置する方法もあります。
連続再生と一時停止での映像確認
フレームレートとシャッター速度の設定を確認するときは、連続再生と一時停止を使い分ける方法がおすすめです。
| 確認方法 | 主に確認すること |
|---|---|
| 連続再生 | 人物や物の動きを順番に追えるか |
| 一時停止 | 顔や手元、文字などがぶれずに記録されているか |
例えば、荷物の受け渡しを撮影する場合、まず録画映像を連続再生して、荷物を渡す前後の流れが分かるかを確認します。次に、受け渡しの瞬間で一時停止し、手元や荷物がどの程度鮮明に映っているかを確認します。
動作が飛び飛びに見える場合には、フレームレートの設定を見直す方法があります。一時停止した画像にぶれがある場合には、シャッター速度や照明の調整が役立ちます。
また、夜間にも使用するカメラであれば、実際の明るさで録画した映像を確認することが重要です。
高フレームレートでの録画の注意点
フレームレートを高くすると、1秒間に記録する画像の数が増えるため、録画データ量が大きくなる傾向があります。ただし、実際のデータ量は、解像度や圧縮方式、画質設定、映像内の動きなどによっても変わります。
また、カメラ本体が30fpsに対応していても、解像度や画像処理の設定によって、利用できるフレームレートが制限される場合があります。録画装置やネットワークも、その設定で映像を記録できる性能が必要です。
なお、ライブ映像の表示が途切れる場合でも、録画データ自体は正常に保存されていることがあります。映像が途切れる原因を調べる際は、保存された録画映像を再生すると、録画の問題なのか、閲覧時の通信や端末の問題なのかを判断する手掛かりになります。
防犯カメラの設定は、フレームレートやシャッター速度を高くすることだけを目的とせず、撮影したい動作と必要な細部に合わせて調整することが大切です。