死角を減らす設置位置と台数の決め方
防犯カメラを設置するとき、どこに何台取り付ければよいのか迷うことはありませんか?
同じ広さの店舗や倉庫でも、柱や棚の配置、出入口の数などによって、必要なカメラの台数は変わります。また、広い範囲が映っていても、確認したい人物の顔や荷物が小さすぎたり、障害物に隠れていたりすることがあります。
この記事では、防犯カメラの設置位置や高さの考え方、死角を減らす方法、必要な台数の決め方を紹介します。
目的に合った設置場所
防犯カメラの設置位置は、何を撮影したいかによって決まります。例えば、店舗の出入口では来店者の顔や出入りを記録し、レジでは商品の受け渡しや手元の動きを撮影するなど、場所ごとにカメラの役割が異なります。
| 設置場所 | 記録したい内容 | 配置の考え方 |
|---|---|---|
| 店舗の出入口 | 人物の顔や出入り | 人が通る方向に合わせる |
| 売り場全体 | 人の移動や周囲の状況 | 広い範囲を見渡せる位置 |
| レジ | 商品や金銭の受け渡し | 手元が隠れにくい位置 |
| 搬入口 | 荷物の搬入・搬出 | 荷物と作業者の動きが見える位置 |
| 駐車場 | 車の移動や周囲の状況 | 駐車車両による死角を考慮する |
例えば、店舗全体を見渡せる位置にカメラを設置していても、レジでの金銭の受け渡しまで詳しく確認できるとは限りません。カメラを設置する際は、まず記録したい場所と内容を整理し、その目的に合った撮影範囲を考えることが大切です。
全体用と細部用のカメラの配置
防犯カメラには、広い範囲の状況を確認する役割と、人物や物の細部を記録する役割があります。例えば、売り場全体を映すカメラは、人物がどの通路を通り、どの棚へ移動したかを確認するのに役立ちます。一方、レジで商品の受け渡しを確認したい場合には、手元が大きく映る位置にカメラを設置する方が適しています。
同じ画素数のカメラでは、広い範囲を撮影するほど、一人ひとりの人物や商品が映像の中で小さくなります。そのため、広い売り場では全体を撮影するカメラを設置し、レジや出入口などの重要な場所には、細部を撮影するカメラを組み合わせる方法がおすすめです。
配置図での撮影範囲の確認
カメラの配置を考える際は、建物の見取り図にカメラの位置と撮影方向を書き込むと分かりやすくなります。例えば、店舗の見取り図に出入口、レジ、商品棚などを書き、その上にカメラの位置と撮影範囲を記入します。
それぞれのカメラに「売り場全体」「正面入口」「レジ」といった役割を付けておくと、同じ場所を重複して撮影していないか、必要な場所が抜けていないかを確認できます。
正式な建築図面がなくても、出入口や棚の配置が分かる簡単な見取り図から始めることができます。
死角ができやすい場所
防犯カメラの死角とは、カメラから確認できない場所のことです。死角には、撮影範囲の外側にある場所だけでなく、撮影範囲に入っていても障害物によって隠れてしまう場所があります。例えば、倉庫全体を見渡すようにカメラを設置しても、背の高い棚の裏側は撮影できません。
倉庫の棚によって生じる死角
カメラ棚・積み荷棚の後ろは隠れる運用中の状態でも確認する
この図では、カメラの撮影範囲内に棚がありますが、その背後は障害物に隠れて映りません。広角のカメラを使って撮影範囲を広げても、障害物の裏側まで見通すことはできないため、カメラを設置する位置が重要になります。
扉・棚・荷物によって生じる死角
店舗や倉庫では、普段の業務によって死角が生じることもあります。例えば、次のような場面です。
- 店舗の入口で、開いた扉がカメラの視界を遮る
- 売り場の販促物や商品棚によって、通路の一部が隠れる
- 倉庫で荷物を高く積み上げたため、作業台が見えなくなる
- 駐車場で大型車が停車し、その後ろにある場所が隠れる
特に倉庫や搬入口では、荷物の積み方によって撮影できる範囲が変わることがあります。
荷物が少ない状態では手元まで見えていても、荷物を高く積み上げると同じカメラからは確認できなくなります。そのため、カメラの設置位置は、荷物や商品が置かれていない状態だけでなく、普段の業務中の状態も考慮する必要があります。
死角を減らすカメラの配置方法
障害物による死角を減らすには、カメラの位置や向きを変更する方法と、別の方向から撮影するカメラを追加する方法があります。例えば、倉庫の左側から撮影すると棚の右側が隠れる場合、反対側にカメラを設置することで、隠れていた範囲を撮影できることがあります。複数台のカメラを設置する際は、必要な部分の撮影範囲を少し重ねることで、一方のカメラでは見えにくい場所をもう一方で補うこともできます。
ただし、同じ障害物によって両方のカメラが遮られてしまう配置では、台数を増やしても死角は解消できません。どの方向から撮影すれば障害物の裏側まで見えるかを考えることが重要です。
カメラの設置高さと向き
防犯カメラは、設置する高さによって映像の見え方が変わります。高い位置に取り付けると、広い範囲を見渡しやすく、人の手も届きにくくなります。
一方、高い位置から急な角度で見下ろすと、人物の頭頂部が中心に映り、顔の表情や特徴を確認しにくくなる場合があります。
高い位置から見下ろした映像

顔の正面に近い方向から撮影した映像

例えば、店舗の出入口で来店者の顔を記録したい場合には、人物が通過するときに顔を確認しやすい角度から撮影することが大切です。人が普段どおりに歩いている状態で映像を確認すると、実際にどのような顔の映像が残るかを判断できます。
反対に、カメラを低い位置へ設置しすぎると、ほかの人物や車両によって視界が遮られたり、カメラに触れられたりする可能性があります。設置する高さは、撮影したい対象の見えやすさと、機器を保護できる位置の両方を考えて決めることをおすすめします。
死角を減らす台数と配置
防犯カメラの必要台数は、建物の広さだけで決まるものではありません。例えば、同じ100㎡の店舗でも、柱が少なく見通しのよい売り場と、背の高い商品棚が何列も並ぶ売り場では、死角の数や必要な配置が異なります。
カメラの台数を考える際は、次の順番がおすすめです。
- 撮影したい場所を決める
出入口やレジ、搬入口など、必ず記録したい場所を整理します。 - カメラの候補位置を配置図に書く
それぞれのカメラが撮影する方向と範囲を記入します。 - 死角になる場所を確認する
柱や棚、扉、積み上げた荷物などによって隠れる場所を探します。 - 必要に応じてカメラを追加する
位置や向きを調整しても撮影できない場所に、別方向からのカメラを追加します。
例えば、広い売り場全体を1台で確認できても、レジの手元までは詳しく映らない場合があります。その場合、全体を撮影するカメラと、レジを詳しく撮影するカメラの2台を使う方法が適しています。
逆に、同じ通路を複数台のカメラが撮影している場合には、カメラの位置や向きを見直すことで、台数を増やさずに必要な範囲を撮影できることもあります。
予算に合わせて台数を減らす場合は、どの場所が映らなくなるのかを配置図で確認すると、削減してよいカメラかどうかを判断しやすくなります。
撮影を避ける場所とプライバシーマスク
防犯カメラを設置する際には、撮影したい場所だけでなく、映したくない場所にも配慮が必要です。例えば、建物の出入口を撮影するときに近隣住宅の窓まで映ってしまう場合や、事務所内のカメラに業務上の機密情報を表示したパソコン画面が映り込む場合があります。こうした場所は、まずカメラの設置位置や向きを調整し、撮影範囲から外す方法が適しています。
位置や向きだけでは対応できない場合には、「プライバシーマスク」という機能を利用する方法があります。プライバシーマスクは、映像の一部を塗りつぶしたり、モザイク状にしたりして、特定の範囲を見えなくする機能です。例えば、駐車場を撮影するカメラに隣家の窓が映り込む場合、その部分をマスクで隠すことができます。
プライバシーマスクを利用する際には、ライブ映像だけでなく、録画映像や書き出した映像にも正しく適用されるかを確認しておくことが大切です。
また、設定を変更できる担当者を限定するなど、マスクを解除できる権限の管理も必要です。
設置前の撮影範囲と条件の確認
防犯カメラの配置が決まったら、実際の運用に近い状態で映像を確認すると、設置後の撮影範囲を判断しやすくなります。例えば、店舗では扉を開閉した状態や、人が通路を歩いている状態、倉庫では荷物を積み上げた状態などで確認します。
また、昼間と夜間では映像の見え方が変わることがあります。夕方の西日が直接レンズに入る場所や、夜間の照明が反射する場所では、映像が見づらくなる場合があります。赤外線を使って夜間撮影するカメラでは、近くの壁や天井に赤外線が反射し、映像の一部が白く映ることもあります。そのため、昼間だけでなく、夜間や消灯後の映像も確認できると安心です。
さらに、カメラの取付位置には、壁や天井の強度、LANケーブルなどの配線経路、点検や清掃のしやすさも関係します。例えば、高所にカメラを設置すると、人の手が届きにくい反面、清掃や故障時の交換に高所作業が必要になる場合があります。
カメラの配置を決める際は、撮影範囲や死角への対策に加え、設置工事や将来の点検についても考えておくと、運用しやすい防犯カメラシステムになります。