USB充電とUSB Power Delivery

USBはデータの通信とともに、機器へ電力を送ることもできます。USB PD(USB Power Delivery)は、その給電方式の一つです。従来のUSB給電より大きな電力を扱え、スマートフォンの急速充電やノートPCの充電に使われています。

USB給電とUSB PDの役割

USB PDでは、対応する充電器と機器がやり取りして、使う電圧・電流を決めます。両方をつなぐケーブルも、その電力に対応している必要があります。スマートフォンとノートPCのように必要な電力が違う機器にも、条件を調整して給電できます。

充電器の写実的な切り抜き充電器供給できる条件
USB-Cのケーブル側端子の形状対応ケーブル給電能力を確認
PCの写実的な切り抜きPC受けられる条件

充電器の「100W」「140W」といった数字は、送れる電力の上限です。実際に何W使うかは、充電される機器の対応や動作状態によって変わります。

USB-CからノートPCを充電するときは、説明書にある充電用のポートへつないでください。USB-Cの形をしたポートでも、周辺機器への接続専用で、パソコンへの充電を受け付けないものがあります。USB PDを利用するには、充電器と充電される機器の両方がPDに対応している必要があります。

SPR・EPR・PPSの役割

USB PDの給電範囲には、最大100WのSPR(Standard Power Range)と、最大240WのEPR(Extended Power Range)があります。EPRで給電するには、充電器・充電される機器・ケーブルのすべてが対応し、接続後に確認した条件で給電する必要があります。

従来の100Wは20V・5A、EPRの240Wは48V・5Aという最大条件です。240W対応の充電器を100Wまでの機器につないでも、一方的に240Wを送るわけではありません。機器の要求に合わせて給電するため、W数とともに、対応する電圧・電流も見比べてください。

PPS(Programmable Power Supply)は、機器の要求に合わせて出力電圧を細かく調整し、電流の上限も合わせる方式です。PPSを使う充電では、機器と充電器の両方が、必要なPPSの条件に対応していることが必要です。「USB PD対応」に加えて、PPSへの対応と出力条件を確認してください。

パソコンへ届く電力の条件

充電器とケーブルは、パソコンの説明書にある推奨電源の条件に合わせて選んでください。充電器の出力だけでなく、ケーブルが扱える電力も確認しましょう。

対象 見る項目
パソコン USB-C充電に使えるポート、推奨電源の電圧・電流・W数
充電器 使用するポートのUSB PD出力、対応電圧、同時使用時の配分
ケーブル 給電に対応する電力・電流
ドックを使う場合 ドックへの入力と、パソコンへ送れる出力

ドックを経由して充電する場合、ドック自身も電力を使います。65Wの充電器をつないだ場合でも、パソコンに届く電力はドックの仕様によって異なります。商品説明の「PCへの出力」を確認してください。

12
1 ドックへの入力充電器から受け取る電力
2 PCへの出力ドックの仕様表で確認する電力
ドック自身も電力を使うため、充電器の出力と同じ電力がPCへ届くとは限りません。対応するUSB-C充電器・ドック・PCをつなぐ構成例です。

パソコンは充電中も電力を使います。届く電力より使う電力が多いと、不足分をバッテリーで補うため、充電器につないでいるのに残量が減ることがあります。

給電のWと転送速度のGbps

USB-Cケーブルに表示される「240W」は給電できる電力、「10Gbps」はデータを送る速さを表します。

PCを充電する
W:給電できる電力
SSDとデータをやり取りする
Gbps:データを送る速さ
大きなW数に対応するケーブルでも、高速なデータ転送に対応するとは限りません。用途に合わせ、給電能力と通信方式・速度をそれぞれ確認してください。

240Wの給電に対応していても、データ通信はUSB 2.0の最大480Mbpsというケーブルがあります。充電と外付けSSDへの大容量ファイルの転送に同じケーブルを使うなら、W数と通信方式・転送速度の両方を確認してください。モニターにも使う場合は、映像への対応も必要です。

60W・100W・240Wのケーブル表示

USB-C同士をつなぐケーブルの「60W」は20V・3Aまで、従来の「100W」は20V・5Aまでの電力能力を表します。「240W」はEPRの48V・5Aまでに対応する表示です。現在のUSB-IF認証では60Wと240Wの表示を使いますが、従来の100W品を一律に使ってはいけないという意味ではありません。

3Aを超える給電に使う脱着式USB-Cケーブルには、5Aへの対応を機器に伝える電子識別が必要です。その情報を記憶する部品を「e-marker」と呼びます。EPRでは高い電圧にも対応する必要があるため、100Wのケーブルを240W用として選ばないでください。

例えば、推奨電源が65Wのパソコンを20V・3.25Aで最大65Wまで充電するなら、上限60Wのケーブルではその条件を満たせません。パソコンが必要とする電圧・電流に対応した充電器と、5A対応の適合ケーブルを選びましょう。EPRが必要な場合は、EPRへの対応も合わせてください。高速データ通信・映像・PPSへの対応は、ケーブルのW数とは別に確認します。

USB-Cケーブルの60W・100W・240Wの電力能力と、65WのPCへ給電するときのケーブル選択例

充電専用のケーブルで、SSDも使える?

充電専用のケーブルでは、SSDとのデータ通信ができません。SSDにつなぐときは、データ通信に対応し、そのSSDで使う通信方式・速度を扱えるケーブルを選んでください。

2台以上を充電するときは、出力の配分に注意

複数ポートの充電器では、パソコンとスマートフォンを一緒に充電することができます。ただし、1台だけの場合と2台を同時に使う場合で、各ポートの出力が変わる製品があります。

PCを1台だけ充電
PC側:最大65W
PCとスマートフォンを充電
PC側:最大45W / スマートフォン側:最大20W
本文の出力配分例(説明用の仮定値)です。同時接続したときの配分は製品ごとに異なります。W数だけでなく対応電圧・電流も確認してください。
つなぎ方(例) パソコン側のポート スマートフォン側のポート
パソコン1台だけ 最大65W 使用しない
2台を同時に充電 最大45W 最大20W

この例では、スマートフォンを追加すると、パソコンへの出力は最大45Wになります。2台同時に使う場合は、この状態でパソコンの推奨電源の条件を満たせる製品を選んでください。W数に加え、対応する電圧・電流も確認しましょう。

接続後は、画面の充電表示と、電力不足の警告を確認してください。充電が安定しない場合は、パソコンに指定された充電器と対応ケーブルで直接つなぎ、ドックを通した場合と比べてみましょう。焦げ・変形・異臭などがあれば、つなぎ直して試さずに使用を止めてください。

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